津野裕子

『ガロ』をフィールドに、寡作ながら心に残る作品を紡ぐ人です。単行本も、以下にあげた３冊しかありません。
まず、絵の端正さが光ります。近年とみにその「端正さ」が増しているように思えます。
それと比例して、物語はどんどん内省化しているようにも思えます。最新単行本である『鱗粉薬』では、夢をそのままマンガにしたような作品が多いです。詩のようだ、とも言えるでしょう。
高校生の時に最初の単行本『デリシャス』を読んで、中のアンケート葉書を送ったら「高校生の方が読んでくださるのは嬉しい」というお返事をもらって狂喜乱舞したこともありましたっけ・・・。


＜お薦め作品＞
・『デリシャス』青林堂、１９８８年。
「ケン君シリーズ」などを収める記念すべき初単行本。柔らかなタッチのファンタジーから、エキセントリックな少女の物語まで、幅広い作品集です。解説やまだ紫。

・『雨宮雪氷』青林堂、１９９４年。
「あめみやゆきこおり」と読みます。表題作は、「ゆきこおり」という憧れの少女を突然失った少年の物語です。富山とおぼしき田舎に引っ越してきた岩波君と、クラスメートの中沖白玉との恋模様を綴った「岩波君シリーズ」も良いです。解説の村上知彦氏がいうように「姉と弟」というのが隠れテーマです。

・『鱗粉薬』青林堂、２０００年。
漱石の『夢十夜』を彷彿とさせる作品集。絵がどんどん研ぎ澄まされていっています。

＜参考サイト＞
津野裕子INDEX　（津野裕子さんの作品名一覧を網羅）


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