永久保貴一

もうオカルトマンガのベテランと言っていいでしょう。僕がこの作家で感心するのは、徹底した取材とその咀嚼力です。特に、日本古代史を題材とした作品からは、色々なことを教えられました。例えば天智天皇と天武天皇の話とか、出雲の神々と大和の神々の争いとか。
僕がこの作家を知るきっかけになったのは『変幻退魔夜行カルラ舞う！』という作品です。十数年も書き続けられている長編ですが、読み応えありますよ。
あと、忘れちゃいけないのが、作者永久保先生のいわゆる「マイノリティ」に対する視線です。歴史の陰に押し込められていた存在にスポットライトを当てたり（アイヌの少女が主人公の作品もありました）、学級崩壊や政治家の汚職事件がらみの事件がモチーフだったり、作風は「社会派」と言っても良いと思います。この点も僕が好きな点です。


＜お薦め作品＞
・『変幻退魔夜行カルラ舞う！』朝日ソノラマ、１９８９〜１９９５年、全１８巻。
今は亡き『ハロウィン』誌で連載されていたもの。「陰陽師」ブームの前から安倍晴明の子孫という設定のキャラがいたりして、先見性にも頭が下がります。「呪い」が原因となった事件を解決する姉妹が主人公のオカルトアクション漫画です。

・『新　変幻退魔夜行カルラ舞う！』秋田書店、連載中、１９９８年〜、現在１５巻まで。
上記の続編。掲載誌を替えての復活です。「蛇神」を祀るのは日本海側、出雲系だなんていう知識はここから僕は教わりました。

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