僕がこの漫画家を知ったのは、ご多分に漏れず、「六三四の剣」からです。小学生の時はうるさいだけだった（失礼）夏木六三四が、高校生になって、東堂修羅というライバルと共に成長していく、良質の少年漫画だったと思います。ライバル達のキャラも立っていたし、夏木親子・東堂親子共に「剣道バカ一代（二代か？）」で凄まじくテンション高いし、はまれば一気にこの長編は読めてしまいます。

特に一番のライバルの東堂修羅のキャラクターが秀逸です。彼と、彼の母親、年上の恋人とのエピソードが素晴らしい。

　

今は、『ビックコミックオリジナル』で、「龍（RON）」を連載中。京都の財閥の跡取り息子押小路龍が京都にあった武道専門学校、「満州国」や上海などを舞台に活躍するドラマ。昭和初期の風俗もよく研究され、面白い読み物ですが、主人公の龍が中国大陸に渡って記憶喪失になってからは、ちょっと中弛みの感を免れない気がします。

　

＜お薦め作品＞

『六三四の剣』１〜11巻、少年サンデーコミックスワイド版、小学館。１９９２年〜９４年。

言わずと知れた剣道漫画の最高峰。典型的な「少年漫画」でもあります（ヒロインの描かれ方などを見ても）。

　

『龍（RON）』１〜23巻（以下続刊）、ビッグコミックス、小学館、１９９１年〜。

考え方が根底から揺すぶられる、というようなことはないのですが、読み物としては抜群に面白い。

　

　

＜参考＞